伝習会 第38回
伝習会
〈 第三十八回 〉
【民、信無くば立たず】…論語(顔淵第十二)
(訳…人間社会に信頼、信義が失われては、政治も会社もそして世の中も成り立たない)
~ 原文は【子貢、政を問う。子曰わく、食を足らし、兵を足らし、民、之れを信
ず。子貢曰わく、必ず已むことを得ずして去らば、斯の三者に於いて、何をか先に
せん。曰わく、兵を去らん。子貢曰わく、必ず已むことを得ずして去らば、斯の
二者に於いて、何をか先にせん。曰わく、食を去らん。古えより皆な死有り。
民、信無くば立たず】
孔子の弟子の子貢が、孔子に政治の要諦(物事の最も大切なところ)を尋ねた時、孔子は、次の三つを上げました。それは、…
1. 食糧の確保 2. 軍備の充実 3. 人民の信頼 であると。
そこで、子貢は孔子に尋ねました。「止むを得ず、この内の一つを切り捨てなければならないとしたら、どれを先に切り捨てられますか」。
孔子は答えました。それは『軍備』だ。更に子貢は尋ねました。「では、残りの二つの内、更に切り捨てなければならない、としたらどれを先に切り捨てられますか。」孔子は次のように答えました。
【食を去らん。古より皆死あり。民、信無くば立たず】と。
それは「【食糧だよ】、人間はしょせん死を免れない。国民の間に【信】
(【信】という字は、“人偏”に“言”と書きます。人が言ったことは必ず守る、ということで、約束、誠実、誠意、真心など)が無くなったら政治は成り立たなくなると答えられました。
【民、信無くば立たず】、【信】は政治を司る人の基本中の基本と言っております。しかし、【信】は政治の世界だけでは決してありせん。企業においてもしかり、社員の信頼を失って、企業が成り立たないことは当然です。リーダーは、その事に心してゆきなさいと言う、戒めの言葉ではないでしょうか。~