伝習会 第51回
伝習会
〈 第五十一回 〉
【政を問う】・・・・・・・論語・中庸・書経
(訳…政治の要諦とはなんぞや)
~ 中国古典は、よく人間学の宝庫と言われています。特に人の上に立つ人、所謂『政治を司どる人』の“心構え”について触れた言葉が根本になっています。その主たるものは、【経世済民】(世を経め、民を済う)【応対辞令】(人間関係にどう対処すればよいか)【修己治人】(自分を高めて、始めて人を治める事が出来る)のテーマを重要な柱としています。これは、企業経営者も大いに参考にすべき箴言(しんげん。戒め、教訓となる言葉)であります。【政治を司どる人】は、何を大切に心掛けて執り行わなければならないか。古典の中には、それに対する箴言が溢れております。その中から、いくつか取り上げてみました。
1.【政は正なり】(政治の要諦は正しいことを行なうことにある)・・・論語顔淵第十二
2.【政を為すに『徳』を以ってすれば、譬えば北辰の其の所に居て、衆星のこれに共うが如し】(政治の基本は『徳』である。為政者が先ず、徳を身に
付け、それを人民に示せば、自ずと上手く治まる。それは、不動の北極星に群星が
向かい従うように、人民はその徳を慕って、その為政者に付いていく)・・・論語為政第二
3.【之に先んじ之に労す。倦むこと無かれ】(人民の先頭に立って骨を折りなさい。
そして人民を労わりなさい。それも辛抱強く、継続することである)・・・論語白路第十三
4.【君子の『徳』は風、小人の『徳』は草。草之に風を上うれば、必ず偃す】(為政者
の『徳』は、例えば風であり、人民の『徳』は草である。 草は、風を与えれば必ずなびく)・・・論語願淵第十二
5.【民、信なくば立たず】(「信」は社会存立の基礎。伝習会第三十八回参照)
・・・.論語願淵第十二
6.【君君たり、臣臣たり、父父たり、子子たり】(君臣父子がそれぞれの持分に応じた道徳性を持つこと)・・・論語願淵第十二
7.【政を為すは人に在り】(政治を行なう根本は、政治を行なう人物如何による)・・・中庸
8.【政は民を養うに在り】(政治は人民の生活を安定させることである)・・・書経
9.【『徳』は惟れ、政を善くす】(道徳が政治を良くする根本である)・・・書経
為政者も経営者も共に、【不徳の致すところ】とならないようにしたいものです。~