伝習会 第52回
伝習会
〈 第五十二回〉
【士は以って弘毅ならざる可からず】……論語・(泰伯第八)
(訳…【士】とは指導的立場の人、そして教養ある立派な人。またリーダーは【弘】即ち広い視野、度量。【毅】は、強い意志力、この【弘毅】を持つ責任と義務がある)
~ これは曽子が言った言葉で、この後に何故【士】(立派な人物)は、責任と義務を持たなければならないのか、その理由を次ぎのように言っています。
【任重くして道遠し。仁以って己れが任と為す。亦た重からず乎。死して而して後已む。亦た遠からず乎】
(【任重くして…】、なんとなれば【士】たる者の任務(責任と義務)は重く、その
前途は遥か彼方まである。更に、【仁以って……亦た重からず乎】、人として守るべき道を自らも実践し、他に広めていくことを自分の任務とする。それこそ任務として重大なものではないか。【死して……】、しかもその任務は死んで始めて終わる。なんと遠いことではないか)人間は生きている限り【公に仕え、社会に貢献】する使命、いわゆる【天命に仕える】ことであり、その使命は死ぬまで解消されない、と。曽子は言っています。
北尾吉孝さんは「人間、長い間に色々判断に迷うことがあるが、常
に考え方がぶれない人間になることが大事だと。そして、ぶれない為の
規矩(ものさし)は【信・義・仁】の三つである」と言っています。
【信】とは、約束を決して破らない事。また、誠実であること。
【義】とは、正しい事を行う事。社会正義に反することはやらない。
【仁】とは、相手の立場になって物事を考える事。思いやり。
その規矩を身に付けるには、【中国の古典】を勉強し、自己を磨く事
が大事であると教えています。
A級戦犯として処刑された、『広田弘毅』総理大臣の【弘毅】は、こ
の論語が出典です。“風車風が吹くまで昼寝かな”(弘毅)~