伝習会 第53回
伝習会
〈 第五十三回 〉
【俯仰、天地に愧じず】……孟子
(訳…うつむき、あおいでは天と地に恥じない。転じて、自分の心や行動にやましい
事、恥じる事が無く、公明正大である)
~ 日本では昔から表記の言葉のように言い習わされてきましたが、もと
は孟子の【君子に三楽あり】(立派な人には、三つの楽しみがある)という中
にある言葉です。それは、
【父母倶に存し、兄弟故無きは、一の楽しみなり】
(父母が共に健在で兄弟も息災で事故のないことが、一つの楽しみだ)
【仰いで天に愧じず、俯して人に怍じざるは、二の楽しみなり】
(仰いでは天に対し、伏しては人に対して、恥じるような行為がない、これが二つ目の楽しみだ。ここから、標記の故事になりました)
【天下の英才を得て之を教育するは、三の楽しみなり】
(天下の秀才を集めて、これを教育することが、三つ目の楽しみだ)
三つ目の【天下の英才を得て之を教育する】などという楽しみは、我々
凡人にはとても出来ることではありません。まさに、聖人の楽しみ方のよ
うな気がしますが、ただ一と二の楽しみだけは心掛けたいものですね。
日本の【教育】や【育英】という言葉はここが出典です。~