伝習会 第60回
伝習会
〈 第六十回 〉
【人を玩べば徳を喪い 物を玩べば志を喪う】…書経
(訳…人間を人間として扱わず、見下したりする人は【徳】を失ってしまい、人から信頼を失ってしまう。また、珍奇な物に目を奪われ、それに執着すると大切な志まで失ってしまう。絵画や骨董、動植物に熱中して後で本心や本務を見失う事に成りがちになってしまう。)
~ これは、B.C1027年頃、周の【武王】が殷の紂王を倒し、周王朝を建国した時、重臣の【召公】が【武王】に王者としての心構えを説いた言葉です。この故事は、
【玩物喪志】の四字熟語として知られています。次に、【召公】が【武王】を諌めた言葉を2・3上げてみましょう。
【細行を矜まずんば、終に大徳を累わす】……書経 (第四十二回参照)
(訳…どんな些細なことでも慎重に対処しなければ、やがて大きな【徳】まで失なって しまう。信頼を築くには長い時間が必要だが失うのは一瞬です。どんな大きな仕事でも
【細行】の積み重ねと【徳】の大切さを説いております。)
【山を為ること九仞、功を一簣に虧く】……書経 (第四十二回参照)
(訳…これも、前と同じ趣旨の故事です。営々と土を積み上げて高い山を築いて来て、 あと、一簣・モッコ一杯分の土を積み上げれば完成する処まで来たのに、それを怠ったばかりに完成できず、折角の功績まで台無しにしてしまう。)
普段の努力も大切だがもっと大事なのは最後のツメである、といっています。『戦国策』という古典にも、【百里を行く者は九十を半ばとす】、百里を旅行 する者は、九十里まで行ったところで、やっと半分終わったと心得なさい、とやはり、最後のツメの大切さを言っております。
終わりを慎むこと始めの如くせよ】やはり、終わりの大切さを説いています。
終わり良ければ全て良し、ということでしょうか。~