伝習会 第66回
伝習会
〈 第六十六回 〉
【礼を学ばざれば 以って立つなし】…論語(季氏第十六)
(訳…礼は、礼儀作法のこと。礼儀はマナー、エチケット。作法はルールで社会生活上、最も大切な徳目であり、人間の根幹である。だから、この礼を学び知らなければ、独り立ちも出来ないし、世に出る資格もない)
~【儒教】(孔子を始祖として、仁と礼を基本に、己を修め、人を治めることを目的とした教え)の教えは、人間が人として守るべき道徳規範を基本としています。
孔子が『仁と礼』、孟子が『義と智』、そして後に、儒学者が『信』を加えて、五つの
徳目を纏めたものが、いわゆる【五常の徳】と言われており、五つの徳目、『仁、義、
礼、智、信』を身に付け、形となって行動すること、と教えています。
☆ …【仁】は、愛情、寛容、思いやりの心です。「予れは一以って之を貫く」
☆ …【義】は、正しい行いをする、人として歩む正しい道のこと。
☆ …【礼】は、敬い、慎み、自分を律し、豊かなる心を持つこと。
☆ …【智】は、正しい判断、是非の区別が出来る知恵、知識を学ぶこと。
☆ …【信】は、約束を守る、言行一致、誠実、信頼を得ること。
孔子は、この【五常の徳】は社会人として、また人の上に立つ者として、どれも
大切な事と言っており、その中でも、特に【礼】の大切さを言っております。
他に、論語の中に取り上げられている【礼】の条を上げてみましょう。
○ …【礼を知らざれば、以って立つことなし】‥堯曰第二十
(論語の最後の篇にある言葉です。礼は社会に立つ人間の背骨である。だから、その礼を心に備え、身につけない者は、世の中に立つことは出来ない。)
○ …【君は臣を使うに礼をもってす】‥八佾第三
(臣下を使う時、主君は礼儀を失ってはならない)
○ …【富て礼を好む】‥学而第一(金持ちであろうとも、礼を大切に愛する事だ)
○ …【礼はその奢らん与りは、寧ろ倹なれ】‥八佾第三
(贅をつくすよりは、むしろ倹約するほうがまだ礼にかなっている)
【礼】に関するものはまだ他に沢山ありますが、要するに、【礼】は日常の社会生活
を送る上で、『お早う御座います、有難う、すみません、はい、お先に失礼します、
酒席、婚礼、葬礼などに』必要欠くべからざるもので、とても大切なことです。~