伝習会 第72回
伝習会
〈 第七十二回 〉
【之を知る者は之を好む者に如かず。
之を好む者は之を楽しむ者に如かず。】…論語(雍也第六)
(訳…あることを知っているだけでは、それが好きな人にはかなわない。好きという
だけでは、それを心から楽しんでいる人間にはかなわない。)
~ 知っている、理解しているというだけでは、好きでしょうがないという人にはかないませんね。でも、好きだと言う人も、心から楽しんで、もう生活の一部みたいにハマッテいる人には、やはりかなわないと思います。例えば、将棋を例にみても、将棋をただ知っているだけでは、好きな人にはかないませんし、また、好きな人も楽しんでやっている人には、やはりかなわないのではないでしょうか。一番強いのは楽しむことです。
趣味でも、仕事でも、それを心から楽しむことが出来てこそ真に理解が
深まり、本質が分かり、そして生きがいを感じるのではないかと思います。
『好きこそ物の上手なれ』その上に、『楽しみを以って憂いを忘る』そんな職場作りを心掛けて行きたいものです。
一方、詩経、礼記、小学に次の言葉があります。
【楽しんで淫せず】(楽しんでも節度を守り度を過ごすな・詩経)
【楽しみは極むべからず】(楽しみは尽きるまで求めてはいけない・礼記、小学)
人生は短い。その短い人生にこれといった楽しみが無く、あくせく働くだけで終わってしまうなら、なんのための人生ぞや。せいぜい楽しむ事を心掛けたい。菜根譚にある言葉です。
問題はその楽しみかたです。楽しみはのめり込むとかえって苦しみが増すものです。何事も大いに楽しんでやってもいいが、物事はほどほどが大事だと言っております。とくに、マージャン、パチンコ、競馬などの賭け事には、くれぐれも極めてはならないと戒めております。
【殷鑑遠からず、夏后の世にあり】詩経(殷王朝が戒めの鑑とする手本は、何も遠くにあるのではない、直ぐ前の夏王朝の世にある。他人の失敗を見て、自分の戒めとする事)。私達の戒めとする例も、決して遠くにあるわけではなく、すぐ近くにあります。教訓として行きたいものです。~