伝習会 第74回
伝習会
〈 第七十四回 〉
【窮まれば則ち変ず、変ずれば則ち通ず】……易経
(訳…事態がドン詰まりまで進むと、そこで必ず情勢の変化が起こり、変化が起ればそこからまた、新しい展開が開けて来る)
~『易経』によれば、世の中は絶え間なく変化している。しかし、そこには一定不変の法則が貫かれており、その法則は【陰】と【陽】の対立という陰陽二元論である、と。あらゆる事物は、孤立して存在するものではなく、必ず対になるものがあって、それと対立することによって統一した世界を作っている。全ての変化は、この陰陽の対立から生まれる。対立のないところに変化は無いと言っています。
少し、理解しづらいかと思いますが、例えば、【陰】は、柔・弱・低・暗・女性、これと対にある、【陽】は、剛・強・高・明・男です。しかし、この両者は固定的・絶対的なものではなく、常に相互に転化するものです。陰は陽に変じ、陽は陰に変ずる。と。
『事象は究極に達すれば変化し、変化することによって新しい発展を遂げる』と言っています。太陽(陽)が昇れば、やがて夜になり月(陰)が登る。夏(陽)が来ればやがて冬(陰)が来ます。【物、窮まれば必ず反す】(物が究極まで行くと必ず元に返る)、全てこうして循環しながら変化を作り出しています。勿論、変化は循環だけではありません。陰陽は互いに、消長し、循環し、働きあって新しい発展が生まれ、宇宙万物はこの法則のもとに不断に変化し発展しています。
さて、日本経済の現状はどうでしょう。特に建設業の環境は大変厳しい状況です。今、まさにこの現状は、易経のいう【窮まれば必ず反す】の状態ではないでしょうか。
1.必ずチャンスが来る。2.何らかの道が自ずと開かれてくる。と信じることです。しかし、私達はこの窮した時、取り乱したり、ヤケを起こしたりせず、易経のこの
言葉を信じるならば、慌てないで情勢の変化を待てば良いのです。 但し、ただ指をくわえて待つのではありません。【人事を尽くして天命を待つ】ことこそ大切です。【君子は器を身に蔵し、時を待ちて動く】(能力を磨きそれを身に蓄えながら、満を持している事が大切)こういう待ち方が出来れば、必ず情勢の変化に応じて、新しい展開を開くことが出来る、と言っています。
【窮まれば則ち変ず、変ずれば則ち通ず】は不変です。必ず事態は変わって行きます。朝の来ない夜はありません、夢と希望を持って参りましょう。~