伝習会 第77回
伝習会
〈 第七十七回 〉
【志立たざるは、舵なきの舟、銜なきの馬の如し】王陽明
(訳…「志を立てる」とは、自分の目標を立ててそれに挑戦すること。ですが、それがしっか
り立っていないのは、舵のない舟や銜のない馬のようなもので、波間に漂ったり、勝手に走り出したりして、どこへ行き着くか分からないようなものだと言う)
~ これは、『陽明学』の始祖・王陽明が【教条、竜条の書生に示す】
の中で、弟子達に【生徒の心得】を語った言葉です。
【志立たざるは……】の後に、【漂蕩奔逸して終にまた何の底るところぞや】(流れのまま漂うだけで、どこに流されていくかわからない)と続きます。
王陽明が弟子達になによりも先ず望んだのは、この「志を立てる」ことでした。何事もそこから全てが始まると言っております。
“「志を立てなければ、何事も成し遂げることは出来ない。諸々の技術にしても、志があって始めて身に付くのである。今、学ぼうとする者が、毎日をうかうか過ごして時間を無駄にし、少しも成果を上げることが出来ないのは、みな志が立っていないからである。
聖人や賢人にだってなろうと志さえ立てれば、なれないことはないのだ」と、
そして「学に励むこと」、立派な人物になろうと志を立てたからには、自ら学ぶことを怠ってはならない。身を入れて学ぼうとしないのは、志がしっかり立っていないからである。私の下で学ぼうとする諸君は頭の良し悪しは二の次、怠らず謙虚であることを第一と心得よ”そして更に過ちを改める事、又
更に善を勧めることは友人としての務めである、と。
【功の崇きはこれ志、業の広きはこれ勤】(高い功績と広い業績を上げる為には【志】、目標の設定、実現であり、【勤】、勤勉と精励の二つが必要だ)と『書経』でも言っています。
【Boys Be Ambitious。………】ウイリアム・S・クラーク(札幌農学校の初代教頭・現北海道大学・クラーク博士で知られている)
(少年よ大志を抱け。お金のためではなく、私欲のためでもなく、名声という空虚な志の
ためでもなく、人は如何にあるべきか、その道を全うするために、大志を抱け)
充実した人生を送るために、【酔生夢死】の人生に終わらんためにも、如何
に【志】を立てることが大切かを言っております。~