伝習会 第82回
伝習会
〈 第八十二回 〉
【死生命有り 富貴天に在り】……論語(顔淵第十二)
(訳…命も天も天命、即ち天の意志を指しています。いつ生まれるか、いつ死ぬか、
また、収入が多く豊かな生活が出来、高い地位に付けるかどうか、それらは
天の配剤であって、人間の努力を超えたものである)
~ 我々も、ある程度、人生を生きて来ると、どんなに努力しても、もうど
うにもならない、なにか天命らしきものを感じることがあります。
例えば、逆境に沈んだ時とか、重い病気に罹ったとき、あるいは、交通
事故などで、一命を取り止めた時などです。そんな時、「これも天命なの
か」と素直に受け入れることも大切だと思います。
天の命、いわゆる天命に従わざるをえない時と、いうものがあるような
気が致します。
【人事を尽くして天命を待つ】、いわゆる、人間として最善を尽くす、
やるべき事はやる、その上で天命にゆだねることです。
教育哲学者の森信三先生が、「自分に起る全ての事は最善であると思い
なさい」と言われています。
また、SBIホールデイングスの北尾吉孝さんも、仕事とは天命に従って働
くことだと言っています。「仕事」という字は、「仕」も「事」も「つかえ
る」と読みます。では誰に仕えるのかと言えば、天に仕えると言っており
ます。
特定の宗教を信仰することではなく、【天の存在】を信じることこそ、
大切だと思います。
しかし、なすべき努力を怠ってただ、天命に期待を掛けても、そんな虫
のよい人間には天も助けてくれないのは当然です。~