伝習会 第91回
伝習会
〈 第九十一回 〉
【人生意気に感ず】……唐詩選にある魏徴の「述懐」
(訳…人は相手の心の気高さや潔さに感動して行動するものだ)
~ 魏徴という人は、唐王朝(626年)・二代皇帝太宗の諫言太夫として仕えた重臣で、太宗皇帝の知遇に深く感じ、この「述懐」と題する詩を詠んでいます。魏徴はこの「人生意気に感ず」の前に、【季布に二諾なく】、【候贏は一言を重んず】と詠んでいます。昔、季布という侠客は、一度約束したことは違えたことはなかったし、候贏という人物も、たった一言の約束に己の命を懸けた、この二人の男の心意気を称えています。
現代は、こういう男のロマンといいますか、意気に感ずることが少なくなったような気がしますが………。
魏徴の【述懐】を口ずさんでみてはいかがでしょう。
【中原還た鹿を逐う】(また天下取りの争いが始まった。中原は天下、鹿を逐うは帝王の位を争う)
【筆を投じて戎軒を事とす】(文筆を捨てて戦いの中に身を投じた)
(以下中間を省略して後半を記す)
【豈に艱険を憚からざらんや】(厳しい困難にたじろがない訳ではないが)
【深く国士の恩を懐う】(国士として遇してくれた天子の恩には、何としても報いなければならい)
【季布に二諾なく】(昔、季布という侠客は、一度約束したことは違えたことはなかったし)
【侯贏は一言を重んず】(侯贏という人物も、たった一言の約束にもおのれの命をかけた)
【人生 意気に感ず】(人生は男同士の意気に感ずるもの)
【功名 誰か復論ぜん】(一身の功名などは問題とするに足りない)~