伝習会 第97回
伝習会
〈 第九十七回 〉
【君子は中庸す 小人は中庸に反す】…中庸
(訳…君子は、学識があり、人格ともに優れており、何事も一方に偏らず中正である。
それに反して、小人は、極端に偏る。)
~ 「中庸」は四書(論語、孟子、大学、中庸)の一つです。もとは、 五経(易経、書経、詩経、春秋左氏伝、礼記)の中の「礼記」の一遍でした。「中」とは偏りのないこと、「庸」は永久不変のことで、「中庸」とは偏らず常に変わることのない正しい道理を説く書という意味です。
次に、顔回が「中庸」の人であると、孔子が誉めた言葉に………
【回の人と為りや、中庸を択び、一善を得ては則ち拳拳服膺す】とあります。顔回の人柄は「中庸」を旨とし、これはという「中庸」にかなった善いことが得られれば、【拳拳】は、両手でうやうやしく捧げ持つ形容から押し戴いて、【服膺】の【服】は付ける、【膺】は胸の意からしっかり心に銘記した、といっています。また、論語には…… 【中庸の徳為るや、其れ至れるかな。民鮮きこと久し】と。「中庸」の、人間の道徳としての価値は、至上のものである。しかし、その能力を持つ人間が乏しくなってから、随分時間がたった、といっています。いわゆる、「中庸」の人は、偏らず、バランスがとれた、最も優れた常識を持った人であるが、この境地に至るには、並大抵の修養ではなれない、と言っています。これは、阿るということではありません。【国を治むるの道は寛猛中を得るに在り】(宋名臣言行録)国を治めるコツは、寛と猛のバランスをとり、どちらにも偏らない“中”をとることである。【過ぎたるは猶お及ばざるが如し】(論語)(何事も、過ぎても、及ばなくてもよくない)~