伝習会 第107回
伝習会
〈 第百七回 〉
【民は之を由らしむ可し。之を知らしむ可からず】…論語
(泰伯第八)
(訳…人民に、政府の施政方針に従わせることは可能であるが、はっきりと自覚し、
具体的に理解させることはなかなか難しい。)
~ これは、よく知られている政治家の要諦の一つです。
この解釈は、陽明学者の安岡正篤氏の『論語の活学』から引用させて貰い
ました。前の【……由らしむ可し】は命令の“べし”で、後の【知らしむ
可からず】は不可能で理解させる事は難しいと言っています。
よって、民衆というものは、常に自分に都合のいい、その場、その場の
ことばかりを求めているので、本当のことだとか、国家の為だとか、十年、
百年の計だとかいうようなことは分からない。
そこで「民衆が、とにかく俺は良く分からないが、俺の尊敬するあの先
生には付いていく。あの人の言う事なら間違いないだろうから任せておく」
というふうに、民衆が尊敬し信頼する、そういう政治家になりなさい、と
いっております。 政治家たる者は民衆の、また企業のリーダーは、社員
からの信頼が第一である、ということでしょう。
しかし、これを逆に解釈している人がいるようです。
「民衆というものは、服従させておけばよいので、知らせてはいけない。
知恵をつけてはいけない」と。注意したいものです。~