伝習会 第108回
伝習会
〈 第百八回 〉
【久しうして人、之を敬す】……論語(公冶長第五)
(訳…長い間、誠意と真心を以って善交をしている人は、人から尊敬される。)
~ この原文は、【子曰く、晏平仲、善く人と交わる。久しうして人、之を敬す】
とあります。孔子が言われた。「晏平仲は善く人と交わった。そうして久
しく交われば交わるほど、人は晏平仲を尊敬した」ということで、晏平仲
は孔子が理想的な人間として高く評価した一人です。
晏平仲は「字」で、名は晏嬰といい、敬称を晏子といいました。
晏子(B.C532年に宰相)は春秋時代(B.C770年~B.C403年)斉の景公の時代の名宰相で、孔子(B.C551年生)の少し先輩であったそうです。
さて、人間は、人と交わらなければ生きられませんが、しかし、本当の付
き合いというものは、なかなか難しいものです。少し付き合っていくと、
あらも見えてきたり、鼻に付いたり、面白く無くなったりして、兎角、
悪くなりがちです。
この【久】ということが難しく、なかなか続かないものです。
例えば、夫婦でも、親子兄弟でも、始終一緒にいると喧嘩もします。
職場でも【久しく】一緒に仕事をする、というのも本当に難しいものです。
【久しく】なると〈あら〉が見え、嫌に成り易いものです。
ですから、【久しく】交わって尊敬されたというのは、晏平仲が余程出来
た人だったのでありましょう。
しかし、我々も晏平仲を見習わなければならないのではないしょうか。
孔子は、久しく交わっても【君子は、和して同ぜず】、仲良くするが決し
て付和雷同しない。自分の主張はしっかり持ってお付き合いをしなさい、
ともいっております。
「久敬」(久しく人を敬うこと)はここが出典です。 ~