伝習会 第123回
伝習会
〈 第百二十三回 〉
【酒は百薬の長】……漢書
(訳…酒は【百薬の長】・いわゆる、全ての薬の中の最高の薬である。ただし、適量を
飲むことが条件である)
~ 酒は、飲みようにより【薬】にもなり、【毒】にもなります。
適量に飲めば、血行もよくなり、ストレスも解消し、何と言っても、人間
関係の潤滑油です。実は、私は、この【酒は百薬の長】という言葉が2000年前の中国の【漢書】にあることを、初めて知りました。
劉邦が建国した【漢】は王莽(第三十六回参照)という野心家に一旦滅ぼされました。王莽は『新』という王朝をつくった時、国庫の収入を安定させる為に、【塩】、【酒】、【鉄】の三品を専売品として、取り締りの強化を打ち立てました。その原文が次のようになっています。
【それ塩は食肴の将、酒は百薬の長、嘉会の好、鉄は田農の本なり】、
(訳は、塩は食味の代表、酒は百薬の長で宴会の友、農具を作る鉄は農の本)とあり、
これが出典です。王莽はいくつも失敗を重ね、【新】王朝は建国十五年で
あえなく滅亡しました。なにはともあれ、【酒は百薬の長】は名言であり、
我々飲兵衛にはこれほど重宝で、有り難い言葉はありませんね。感謝、感謝!!【酒なくて何のおのれが桜かな】(酒の無い花見など、どうして花見であるものか、酒がなければ花見をしていても、いっこうに面白くはない)
しかし【酒は量なし、乱に及ばず】(酒の量は特に量はないが、しかし乱れる程には飲まない。論語)、【花は半開を看、酒は微酔に飲む】(菜根譚)いいですね。~