伝習会 第133回
伝習会
〈 第百三十三回 〉
【一利を興すは一害を除くに如かず】…耶律楚材
(訳…物事には【一利】があれば必ず【一害】がある。利益になることを一つ始め
るよりは、従来から害になっていることを一つ除いたほうがよい。)
~ 【耶律楚材】は、蒙古軍が南宋を下し、中国全土を掌握して元王朝
(1279年頃)を建国した時、ジンギスカンに下って重臣となった人で
す。ジンギスカンに【参謀ここにあり】と言わしめた敏腕の人であったそ
うです。【耶律楚材】は政治の全権を託され、強固な政治体制を確立して、
1368年に明王朝に変わるまでの基礎を築いたといわれています。
この後、原文は次のように続いています。
【……。一事を生ずるは、一事を減らすに如かず。】(……。一つのことを増やすよりは、一つのことを減らした方がよい。)
今、【革新】とか【改革】といえば、なにか儲かるような気になり、聞こ
えがよく、とかく【一利】を興し【一事】を生ずる事には力が入るが、実
際にはさしたる効果は上がらないものです。【一害を除き一事を減らす】
ことこそ、今、皆で【耶律楚材】の策を真剣に考えて見る時ではないで
しょうか。勿論、時代に合った新分野への挑戦も怠ってはならないことは
当然です。
(余談)今年の(H.23年)の干支は【辛卯】(かのと う)です。【辛】は辛苦、辛酸、辛抱などと、つらい、苦しむと言う意味と一方新しいという意味があります。【卯】ウサギは、素晴らしい耳で鋭い聴覚を持っている動物だそうです。新しい、一利になる情報はいち早くキャッチして挑戦することも大切ではないでしょうか~