伝習会 第144回
伝習会
〈 第百四十四回 〉
【七歩の詩】…世説新語
(訳…魏(三国志の一国)の曹操の子、曹丕の弟、曹植が七歩あゆむ間に作った詩。
転じて、早やづくりの詩。天才的に優れた文才のたとえ。素早い応答をいう)
~ 三国時代(魏・呉・蜀)A.D220年頃、魏の【文帝】(曹丕)の実弟・【曹植】の詩です。【曹植】は、幼少の頃より作詞作文に大変優れ、才能を発揮していました。父・【曹操】は、一芸一能に秀でた者を高く評価していたので、文才豊かな彼を寵愛し、兄の【曹丕】に代える太子に立てたい、とさえ思っていました。ですから、兄弟とはいえ、【曹丕】は【曹植】を憎み、猜疑心は解けず、嫌がらせを続けました。ある日、二人で歩いていた時、「七歩ある
く間に詩を作らなければ死刑にする」と脅迫されて【曹植】が詠んだ詩です。
【豆を煮て持って羹と作し】(豆を煮てあつものとした)
【菽を漉して以って汁と為す】(味噌をこして汁とする)
【萁は釜の下に在って燃え】(まめがら(兄・曹丕)は釜の下で燃え)
【豆は釜の中に在って泣く】(豆(弟・曹植)は釜の中で泣いている)
【本は是れ同じ根より生ぜしに】(本は同じ根から生まれた兄弟なのに)
【相煎ること何ぞ太だ急なるや】(どうして、そんなにいじめるのですか)
同じ父母から生まれた兄弟同士で、「どうしてそんなにいじめるのですか、兄さん」と切ない思いが込められています。 文才にも長けていた、兄・【文帝】(曹丕)もこの詩を聞き、顔を紅潮させて大いに恥じたそうです。
【友朋遠方より来る、また楽しからずや】。去る【敬老の日】、弟来る、夜を徹して美酒に語る。なんと楽しいことではないか。感謝!!~