伝習会 第168回
伝習会
〈 第百六十八回 〉
【君子は本を務む】…論語(学而第一)
(人から信用される人は、物事の基本、根本、原則がしっかり確立されている)
~ これは孔子の言葉ではなく、弟子の有子(有若)の言葉です。原文は…
【有子曰く、其の人と為りや孝弟にして、上を犯すことを好む者は鮮なし】
(有子が言うには、人柄が【孝】、親に対して思いやりがあり、そして【弟】、兄弟(目
上の人)に対しては敬いと思いやりがあるなら、世の中に出てから目上の人にたて突
くことを好むような者にはならない)
【上を犯すことを好まずして、乱を作すことを好む者は、未だ之有らざるなり】
(目上の人にたて突くことを好まない者であれば、世の中を乱すことはまずない)
【君子は本を務む】(紳士は、根本のことに努力する)
【本立ちて道生ず。孝弟は其れ仁の本為か】
(根本がしっかりしていてこそ、人として生きる道がはっきりする。親思いで兄弟思
いであることが、人としての道【仁】の本であろう)
【仁】というのは、【人】と【二】を組み合わせた漢字です。【仁】は、
人と人との人間関係における【倫理・道徳】の基本です。【孝】つまり、親
を敬愛して孝行を尽くすこと、【弟(悌)】つまり、兄・姉や目上の人を尊
敬し、素直に従い、思いやることです。いわゆる、家庭内における人間と
して具わっていなければならない道、【孝弟】は、人倫(人の歩むべき道)の
基本【仁】を磨く本であり、それがまた、社会の安定平和の大本だと言っ
ております。~