伝習会 第171回
伝習会
〈 第百七十一回 〉
【好事 魔 多し】…琵琶記(元の代・1300年頃の歌劇の台本)
(訳…【好事】とは、うれしいことやお目出度いこと。そういうことには邪魔が入り
やすいのだという。物事がうまく進んでいる時ほど以外な所に落とし穴がある)
~ このような経験をされた方も、いられるのではないでしょうか。
【好事】には、どうして邪魔が入りやすいのでしょうか。
一つには、自分にとって有利なことや都合のいいことが起こった時には、
どうしても気持が浮わついて、発言や行動に慎重さを欠くようになりがち
です。すると心に隙が出来、脇が甘くなって、それが、つまずきの本にな
ります。気を引き締めて、よく注意することという戒めの言葉です。
二つ目は、【好事】に恵まれると、つい、うれしさを隠すことが出来な
いことがあります。周りには幸せな人ばかりいるとは限りません。
むしろ、恨みを買う事にもなりかねません。それを避けるためには、やは
り、普段の言動が大切で、いっそう慎重さが求められるのではないでしょ
うか。しかし、【好事】というものは、いつまでも続くと思ったら大間違
いです。【禍福は糾える縄の如し】と申します。良いことがあった時は、おくびにも出さず、一人になって、こっそり「にや」と喜びましょう。
類義語に【月に叢雲 花に風】(月見をすれば雲が名月を隠し、花見に行けば風が桜を散らす)~