伝習会 第173回
伝習会 改訂版
< 第百七十三回 >
【読書百篇、義自ずから見る】…三国志
(訳…難しい書物でも繰り返し読めば意味が自然と分かってくる。百遍は回数が多い事。乱読を戒め熟読が肝心であると説いた言葉です)
~ 【読書百遍、意自ずから通ず】でも知られています。
これは三国志の時代、魏の【曹操】に仕えた学者に、篤学の士【董遇】という人がいました。畑仕事の間にも本を手から離さなかったそうです。さしずめ【二宮金次郎】といったところでしょうか。【董遇】は、弟子から質問されても、すぐには教えないで、表題の言葉を口にして、先ず自分で繰り返し繰り返し熟読すべきことを説きました。
原文は【必ず当に読むこと百遍なるべし。読書百遍義自ずから見わる】です。すると弟子の一人が「私には書物を百回も読む時間がありません」と答えた時、【董遇】が「暇がない事は無いでしょう。【三余】にしなさい」と。ここから【読書三余】という言葉が生まれました。また弟子は【三余】とはどういう意味ですか。【董遇】は【三余とは、冬は一年の余り、夜は一日の余り、雨降りは時の余り】と答えました。【余】は【余暇】で、自由に使える時間という意味です。
山本五十六の【やって見せ、言って聞かせて、やらせて見て、誉めてやらねば人は動かじ】も教育方法の一つでしょうね。
【一念岩をも通す】・【愚公山を移す】・【ローマは一日にしてならず】~