伝習会 第175回
伝習会
〈 第百七十五回 〉
【礼を知らざれば、以って立つ無き也】…論語(堯曰第二十)
(訳…礼を心得ていなければ、一人前の社会人とは言えない)(第六十六回参照)
~ これは、【論語】全篇(二十篇)の最後の章の言葉です。
【命を知らざれば、以って君子と為す無き也】(天の命令(使命・運命)を知
らなければ、君子(一人前の社会人)としての資格はない)
【礼を知らざれば、以って立つ無き也】(礼を心得ていなければ、一人前の社会
人とは言えない)
【言を知らざれば、以って人を知る無き也】(言語に精通し、相手の言葉を見
抜く力がなければ、人を理解することはできない)
ここに挙げられた【命】、【礼】、【言】の三つは、社会人にとって欠くこ
との出来ない大切な条件である、と言っております。特に、この【礼】は、
文明社会での行為の代表であり、人格の形成には、欠くことの出来ない最
も大切なことであると強調しております。まさに、その通りだと思います。
【礼】{“言葉遣い”(心の成熟)、“挨拶”(外に現れる姿)}は、その人の人格
そのものではないでしょうか。日本の【武士道】、【剣道】、【柔道】、【書道】、
【華道】、【茶道】など等は、それぞれの【道】と名付けた【道】、所謂、
【礼】を基本としていることは申すまでもありません。
礼儀作法は、自立心の芽生えない幼い時から、先ず「型」を身に付けさせることが、人間としての品位と品格を形成する方途であると思います。
「挨拶」をしなさい、「礼」をしなさいと言葉だけではなく、「型から入る」ことがなにより大切なことではないでしょうか。
この章は、【論語】全体の締め括りとして、最も相応しい言葉だと言わ
れております。~