伝習会 第177回
伝習会
〈 第百七十七回 〉
【寧ろ鶏口と為るも牛後と為るなかれ】…戦国策
(訳…大きな牛の尻に付くよりも、小さくても鶏の先頭になったほうが良い。転じて、
大きな組織の下で甘んじるよりは、例え小さな組織でも、頭になったほうがよい)
~ 戦国時代(B.C403頃)秦、趙、韓、魏、楚、斉、燕の【戦国の七雄】が、
生き残りをかけて壮絶な戦いを繰り広げていました。謀略家【蘇秦】が、
列強【秦】に対抗する【合従之策】を他の六国に示して、各国の王を説
得する切り札に使った言葉です。蘇秦が六国の王に対し……
「【寧ろ鶏口と為るも牛後と為るなかれ】と言われていますが、貴方がた
は、おめおめと【秦】に仕えて、【牛後】に為るとあっては、誠に恥ずか
しい限りです。寧ろ、あなた方六国が手を結び、【秦】に対抗して行けば、
それぞれ一国の王として、君臨出来るでは在りませんか」と説得して、
念願の六国【合従】を実現しました。しかし、実際問題として、【鶏口】
か【牛後】か、どちらを選択するかとなれば、それほど単純なことではあ
りません。ただ、【牛後】は安定性があります。反面、面白みに欠け、
へたをすると一生下積みで終わる可能性もあります。一方、【鶏口】は、
自分の努力次第で、やりがいのある仕事にすることも出来ます。また、反
面、それに伴う危険性を覚悟しなければなりません。結局、【安定】を選
ぶか【やりがい】を選ぶかでしょう。【蘇秦】と反対に、【秦】と六国がそれぞれ
手を結んだ策を採ったのが、【張儀】(ちょうぎ)の【連衡之計】(れんこうのけい)です。今
日まで、政治・経済における権謀術策の代名詞として広く活用されているのが、この
【合従連衡】(従に合し衡に連ねる)で知られております。~