伝習会 第181回
伝習会
〈 第百八十一回 〉
【大事を済すには必ず人を以って本と為す】…三国志
(訳…大きな仕事を成し遂げるには、何事も人間の手助けがなければ出来ない)
~ これは、【三国志】に出てくる【劉備】と【曹操】の戦いの中にありま
す。【劉備】は、【三国志演義】では立派な人物として描かれているが、実像は無能に近く、戦いをやれば負けてばかり、政治の駆け引きもまるで駄目、ライバルの【曹操】の足元にも及ばなかったと言われています。正史の【三国志】を書いた【陳寿】は、曹操を【非常の人、超世の傑(すぐれる)と謂うべし】と評価。【劉備】は人生の後半に、漸く【蜀】という地に自前の勢力を築くことが出来たのも、彼の能力というより、【関羽】、【張飛】、【諸葛孔明】など、部下の
頑張りによるところが大きかったのです。では、何故「劉備の為なら」と部下が頑張ったのでしょう。それは、【劉備】が持つ【徳】としか言いようがありせん。【仁】思いやりでしょうね。それがこの言葉に表れております。
【劉備】が【曹操】に敗れて逃走した時、【劉備】を慕う人々が次々と合流して、たちまち大軍に膨れ上がりました。行軍のスピードが極端に鈍った時に【劉備】だけでも脱出するように部下が勧めましたが、心配する部下に向かって【劉備】が語ったのが表記の言葉です。
表記の言葉の後に、次のように言っています。
【今、人吾に帰するに、吾何ぞ棄て去るに忍びんや】今、これだけの人が俺を慕って付いてきてくれたのだ。どうして、それをむざむざ見捨てていかれようか、と。心に響きますね。人心掌握の基本でしょうか。~