伝習会 第185回
伝習会
〈 第百八十五回 〉
【厳家に悍虜なくして慈母に敗子あり】…韓非子
(訳…【悍虜】は我が儘な召使い。【敗子】は家を滅してしまう道楽息子。躾の厳し
い家には我が儘な召使いはいないが、愛情の深い母親からはかえって道楽息子
が出てくる)
~ 江戸時代ならいざ知らず、今では召使いと言っても一寸ピントきません
が、愛情過多のタイプの母親を見かけることは多々あります。
わが子を愛さない母親はまずいません。しかし、愛情も過剰になって、
なんでも「いいよ、いいよ」では基本的な躾も出来なくなってきます。
それに今は少子化の時代ですから、どうしても世話を焼きすぎて過保護に
なってしまい、その結果、子供の方はいつまでも社会人として自立出来な
い、ひ弱な人間になってしまいます。(我が家も大いに反省!!)
【韓非子】の言っていることは、家庭だけではなく、一般の組織・企業に
於いても、当然当てはまります。上に立つ人は、優しさや愛情、思いやり
が必要ですがしかし、この兼ね合いが難しいところです。
宋名臣言行録に太宗皇帝が言った次のような言葉があります。
【国を治むるの道は寛猛中を得るに在り。寛なれば政令為らず、猛なれば民、手足を措くなし、天下を有つ者は、これを慎まざるべけんや】、国を治めるコツは寛(ゆるやか)と猛(きびしさ)のバランスをとることにある。と言っております。そこで大切なことは、【寛と厳】という寛容・思いやりであり、厳しさということではないでしょうか。~