伝習会 第189回
伝習会
〈 第百八十九回 〉
【博く学びて教えず、内にして出ださず】…小学
(訳…色々と学んで知識を広めるが、少し学んだからと言って、その知識を直ぐに人
に教えることはしない。更にその内容を深める為に、心の中に蓄え、表に出さ
ないようにする。)
~ 【小学】は、今から3000年ほど前、中国の夏、殷、周三代の学校
で、八歳からの子供を学ばせた「書」といわれています。それは、主に社
会人、為政者、そして【修己治人】(己を修めて初めて人を治める事が出来る)、
所謂リーダーとなる為の基礎教育用の、子供向けの書と言われています。
人間は一寸勉強すると、得てして人に教えたがる性質があります。
孟子も【人の患いは、好んで人の師と為るに在り】の患いと言っています。やはり、二十代~三十代(四十代までか)までは、逸る気持ちを押さえ、何事も仕込みの時と自覚し、自らの修養に努めるべきと思います。
この【小学】の言葉も、まさに、二十代の男子のとるべき生活態度の
基本を述べたものです。
今では考えられませんが、皆さんも良くご存知の【七歳にして男女席を
同じくせず、食を共にせず】(日本では、男女七歳にして席を同じくせず)も、
この【小学】の中にある言葉です。
己を磨くには、読書に勝るものはありませんが、【書は多く看るを必と
せず、其の約を知らんことを要す】…近思録(書物は数多く読む必要はない。要
点を捕まえることが大切である。)全ては自らの心掛けでありましょう。~