伝習会 第196回 (H31.2.1)
伝習会
〈 第百九十六回 〉
【戦わずして勝つ】……孫武【孫子】
(訳…武力を使わないで、相手を屈服させること。要するに、頭を使って勝つこと)
~ 戦後日本で、【孫子】の兵法書は、経営戦略の参考書として、経営者や
ビジネスマンに大変愛読されてきました。 以下に原文を記すと……
【百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善
の善なるものなり】(百回戦って百回勝ったとしても、最善の策とは言えない。
戦わないで敵を降伏させることこそが、最善の策なのである)
【戦わずして勝つ】、武力を使わないで勝つのが最善の策なのだといっています。戦わないで勝つとは、どういうことか。
先ずは、外交交渉であり、謀略活動であると。外交はともかく、謀略など
というと、眉をひそめるかもしれませんが、戦いは食うか食われるか、命
がけの場です。きれいごとだけでは戦いには勝てない。
戦わないで勝つことが、何故望ましい勝ち方だとされるのか。
武力を使っての戦いともなれば、どんなにうまく戦っても、必ず見方にも
損害が出る。下手をすると、敗れて国を滅ぼしてしまうことにもなりかね
ない。それは、賢い人間のやることではないと言っているのです。
【孫子】には、戦争の影響の大きさ、重要さを次のように記しています。
【兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからず】と、
戦争は国家の重大事であって、国民の生死、国家の存亡が掛かっている。
それゆえ細心の検討を加えてかからなければならない。と言っています。
また、【勝算なきは戦うなかれ】、勝ち目のない戦いを戦うほど愚かな
ことはありません。これは、現代の企業経営にも当てはまることです。
リーダーたる者の条件に次の五つを上げています。
1.【智】…勝算のあるなしを見分ける、状況を読む力、洞察力が智である。
2.【信】…嘘をつかない。約束を守る。部下の信用を得るには必要不可欠。
3.【仁】…思いやりです。部下を心服させるのに必要な要素。
4.【勇】…勇気、決断力です。とくに、判断力と決断力はリーダーに不可欠
5.【厳】…信賞必罰で望む毅然とした態度が大切です。
リーダーには大変参考になると思われます、【孫子】を是非【座右の書】
の一冊に加えられたら如何でしょうか。~