伝習会 第23回
伝習会
〈 第二十三回 〉
【利に放りて行えば怨み多し】……論語(里仁第四)
(訳…自分の利益ばかりを考えて行動する人は、人から怨まれることが多い)
~ 利益には、自分の利益と他人の利益があります。自分の利益と他人の利益は衝突す
るものです。ですから、自分だけよければ人はどうでもいい、では怨まれるのは当然
です。
利益を得ると言うことは、とても大切なことです。ただ、手段が問題だと思います。
利己(自分のため)と利他(人のため)の兼ね合いが大事なのではないでしょうか。
孔子は、金儲けはするな、とは決して言っておりません。
「自分の目の前にある儲け話は、人の道に外れていないか、後めたいお金でないか、
と言う正しい判断基準をしっかり確立しておくことが大切で、その判断基準は『義』です」。それを『君子は義に喩り、小人は利に喩る』(立派な人は、何が正しいかの道理・判断基準がしっかりしているが、つまらない人間は利益となると目の色が変わる。)と、論語(里仁第四)で言っています。
また、孟子は、【義を後にして利を先にするを為さば、奪わずんば饜かず】
(義を後回しにして、まず、利を追い求めるということになると、結局は人の物を奪いつくさな
ければ満足しない事になるだろう。)といって、いづれも『義』を判断基準にしています。
☆ …『利は義の和なり』……春秋左氏伝(襄公の条)
☆ …『義は利の本なり』……春秋左氏伝(昭公の条)
☆ …『利を見ては義を思う』……論語憲問第十四
☆ …『欲に従えば、これ危うし』……小学
いかに正しく利を得ることが大切かを、多くの賢人が忠告しているかが伺われると思います。ともに利を得るには『義』が判断基準だといっています。
花、茶、柔、剣、などにそれぞれ花道、茶道、柔道、剣道という道があるように、
人にも人が通る道があります。
孟子は『恒産なければ恒心なし』と言っております。
心豊かに、楽を極めん程度に楽しんで生きよ、といっても一定の収入がなければ、それはまた無理というものです。これもまた真理ですね。~