伝習会 第29回
伝習会
〈 第二十九回 〉
【徳は事業の基なり】……菜根譚(洪自誠著)
(訳…事業を経営する基は、リーダーに具わった徳である。徳が事業発展の基である)
~ 第二十七、八回にも【徳】の大切さを書きましたが、【徳】というも
のは、政治家にしろ、人の上に立つリーダーにしろ、なにより人間とし
て身に付けることが、如何に大切かということではないでしょうか。
洪自誠は、表記の故事の中で、事業は【徳】が基本でなければならな
い、と言っています。この後に…
【いまだ基の固からずして、棟宇の堅久なるものはあらず】と。
基礎がぐらぐらしているのに、建物が堅固であった、ためしはない、と
いっておりますように、会社もしっかりした【徳】が基とならなけれ
ば企業の存続はない、と強調しております。また、佐伝では、どういう
【徳目】が【徳】の基かを、【卑譲は徳の基なり】と言っております。
これは、たくさんある【徳目】の中の【卑譲】という、一歩下がって譲る【徳目】を基としました。又、孝経では【孝行は徳の始めなり】とあり、孝経では、親に孝行する【孝】の【徳目】を最も重視しました。
【孝】は老の省略形と子の合字で、子が赤ん坊の時は、親が抱っこしてお乳を飲ませている姿であり、今度は親が年老いると子が親を背負っている形です。
このように、どの【徳目】を自分は基本として、重視していくかは、
その人その人の捉え方です。孔子は【仁】を、武士は【義】、【忠】の
【徳目】を重要視しました。せめて私達も、数ある【徳目】の中の、仁、
義、礼、智、信の【五常の徳】位は身に付け、自らを向上してゆく努力
をし、人徳ある人間になりたいものです。 ~