伝習会 第32回
伝習会
〈 第三十二回 〉
【 酒 池 肉 林 】……史記
(訳…酒や肉などの豪華な料理で贅沢三昧を極めた酒宴)
~ 今から、約三千年前、六百年間も続いた【殷】という国の最後の【紂王】が、池に
酒を満たし、林に肉をぶら下げ、その間を男も女も裸になって追い掛けあって、豪奢
な酒宴に耽ったことから出た言葉です。史記には、【酒を以って池と為し、肉を懸けて
林と為し、男女をして裸にて、その間に相遂わしめ、長夜の飲を為す】とあります。
兎に角、【紂王】は、酒は溺れるほど飲み、女色には耽り、特に、【妲己】という
美女を愛し、彼女のいいなりなった、暴君の典型でした。殷の暴政は長く続きません。
【殷】は、【太公望】(第二回参照)が出た【周】(B.C1027年頃)の国に滅ぼされました。又、【殷】の前に、伝説上の【夏】という国がありました。その最後の【桀王】も【末喜】という美女に溺れ、贅沢三昧のしたい放題、その上暴君でやはり【殷】の国に滅ぼされました。そこから、【桀・紂】と言えば暴君の代名詞になりました。
周の文王が【殷鑑遠からず 夏后の世に在り】(詩経)(【殷】が鑑とすべき手本は、遠い時代に求めなくても、同じく悪政で滅んだ前代の【夏】にある。戒めとすべき例はごく身近なところにあるものだ、と言う例え)と紂王を諌めた言葉です。
【周】の【武王】(周の文王の次男)は【牝鶏の晨するは惟れ家の索くるなり】(書経)と、朝コケコッコと時を告げるのは、雄鶏の役目、それを雌鳥が時を告げるのは、その家が滅びることだ、と言って、【殷】の王朝が滅亡した原因は雌鶏の【妲己】であると言っています。どこかで、こんな女傑の話を聞いたような気がしますが?【驕る平家久しからず】、【敖りは長ずべからず、欲は縦にすべからず、志は満たすべからず、楽しみは極むべからず】(礼記)とあります。歴史から学べとはまさに正論です。ゆめゆめ忘れることの無きようにしたいものです。~