伝習会 第191回 (H30.12.10)
伝習会
〈 第百九十一回 〉
【大行は細謹を顧みず】…史記
(訳…【大行】は大きな仕事、大事業。【細謹】は、小さなことを念入りにすること。
転じて、大きな仕事を成し遂げるには、小さな事をいちいち気にしてはならな
い。大事の前には、小事にこだわるな)
~ 【項羽】と【劉邦】の【楚漢の戦い】の一コマに、【鴻門の会】とい
うのがあります。全国を統一した秦の【始皇帝】亡き後、秦の暴政打倒を
叫び、反乱軍が一斉に蜂起したが、最終的には【項羽】の主力軍四十万と、【劉邦】の別働隊十万の両軍に集約されました。
名目上の盟主楚の【懐王】が秦の都【咸陽】に一番乗りを果たした者を【漢王】とすると布告しました。秦の都【咸陽】に一番乗りを果たしたのは【劉邦】でした。これに激怒した【項羽】は、【劉邦】を討とうと考えました。しかし、【劉邦】は【張良】の計らいで、一番乗りの無礼を詫びる為【項羽】の陣営に赴きました。これが有名な【鴻門の会】です。その宴席が盛り上がってきた時に【劉邦】を殺害しようとする不穏な空気を察して、【劉邦】は厠に立ちました。
供の【樊噲】は「さあ、直ぐに帰りましょう」といいましたが、【劉邦】
は「挨拶もせずに退出するのは非礼だ」と思い躊躇しました。
【樊噲】は【劉邦】の袖を押さえ押し留め、「危急の時に、細かな礼儀な
ど構ってはいけません。いまや向こうは(項羽側)刀とまな板、こちらは
魚肉の身です。どうして挨拶などしていられましょう。」と言って密かに
陣を抜け出し、【劉邦】の天下へと移って行きました。まさに大事の前の
小事にはこだわるなですね。~