伝習会 第45回
伝習会
〈 第四十五回 〉
【暴飲・淫欲の戒め】………言志録(164)佐藤一斎
(訳…暴飲、暴食と性欲はほどほどにせよとの戒めです)
~ 【言志四録】は、【言志録】、【言志後録】、【言志晩録】、【言志耋録】の四部門をいいます。これは、【言志録】の「色欲二則」その二に、次のようにあります。【少壮の人(若く元気な人は)、精固く閉ざして少しも漏らさざるも亦不可なり(精を思い切り押さえつけて漏らさないのは良くない)。神滞りて暢びず(精神が滞って伸び伸びとしなくなる)。度を過ぐれば則ち又自ら戕う(反対に度を越してしまうと体を痛める)。故に節を得るを之れ難しと為す(適度を守ることはなかなか難しい)。飲食の度を過ぐるは、人も亦或いは之を規せども(飲み食いで度を越したのは、他人もその場で見ているので、直ぐに注意することが出来て、改めることも簡単だが)、淫欲の度を過ぐるは、人の伺わざる所にして、且つ言い難し(性欲の方は度を過ごしても、人の知らない所でやるものだから、注意のしようがないし、なかなか言いずらいものでもある)。自ら規すに非ずんば誰か規さん】(こればかりは自分で規制する以外に方法はない)。と佐藤一斎は、【飲食】はその場で注意してくれるが、【淫欲】だけは人の見ていない所でやるものだから、くれぐれも気を付けなさい。特に色欲が過ぎるのは、若い時に限らず、中年後も気を付けなさいと言っております。「色欲二則」その一に、次のようにあります。【……四十以後の人、血気漸く衰う。(四十歳過ぎになると、血気が衰えていくのであるから)最も宜しく牀笫を戒むべし。(色欲を抑えなければならない)然らずんば神昏く気耗し、徳業遠きを致すこと能わじ。(もし、抑えないと、精神朦朧として、気力衰え学業も遠く達することが出来なくなる)独り戒むること少き時に在るのみならず。】(色欲を抑えることは若い時に限らない、中年後もしかりである)個人差はあると思いますが思い当たる方は、心されたらよろしいかと私の若い時の反省と老婆心からご忠告を申し上げさせていただきます。~