伝習会 第48回
伝習会
〈 第四十八回 〉
【一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うること勿れ。
ただ一燈を頼め。】……………………言志晩録(佐藤一斎)
(訳…暗い夜道を行く場合、一つの提灯を提げて行くならば、如何に暗くとも心配す
ることはない。只、自分が持っている、その提灯を頼んで行けば良い。
転じて人間、一生のうちには、暗い夜道を行くような事があるが、暗夜を心配
することなく、ただ、自分の強い信念を持って行くことである)
~ 人間の一生にしても、企業経営にしても、決して順風満帆ということは
有り得ません。むしろ、山あり谷ありが人生です。
逆境を嘆き、業績不振を不況のせいにしたり、国が悪い、あれが悪いと言
っているようでは、決して危機脱出は出来ません。
むしろ、自らを強い人間に鍛えることが大切でありましょう。
竹がどんな大雪にも耐え得るのはあの節のお陰です。人間も幾多の逆境を
経てこそあの竹のような強靭さが備わるのではないでしょうか。
【一燈】とは、我々が生きていく為の、強い信念、使命感、原理原則のこ
とです。ピンチに陥った時、ただただ、自分の強い心意気、【一燈】を頼
んで脱出しなさい。と佐藤一斎は言っております。
孔子も次のように言っています。
【君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む】(論語衛霊公第十五)
〈君子(徳のある人格高潔な人)は何事も自分の責任として、自らを責め、
反省する。しかし小人(自分の考えや意見を持たない人)は他人のせいに
して、反省することはない〉
このような小人の人は、充実した人生も送れないし、また人間として成長
することもないでしょう。
責任を自分に負わせ、反省する人が成長し、充実した人生を送れるのです。
更に、他人を変えるのは難しいが、自分を変えるのはたやすい。
何故なら、自分が変わればいいだけですから。~