伝習会 第56回
伝習会
〈 第五十六回 〉
【君子は交わりを絶ちても悪声を出ださず】・・・・史記
(訳…君子と言う者は、例え交際を絶った後でも、決して相手の悪口は言わない)
~ これは、戦国時代、燕の名将【楽毅】の言葉で、次の原文が出典です。 【古の君子は、交わりを絶ちても悪声を出ださず、忠臣は国を去るも其の名を潔くせず】(古の君子は…、忠臣・真心を持って使える家臣は国を去っても、自らの身の潔白・言い訳はしない)。皆さんも良くご存知の、【郭隗】の【先ず、隗より始めよ】と言う、この言葉がそもそもの始まりです。燕の国の【昭王】が、【郭隗】に、我国に賢者を迎える方法を問うた時に、『賢者を招きたいならば、先ず、つまらない私、【隗】を優遇しなさい。そうすれば、より優れた人材が次々と集まってくるでしょう。』と答えました。早速、【昭王】は【郭隗】を優遇したところ、【楽毅】が仕官したのです。【楽毅】は大変な働きをして、【昭王】に信頼されたが、息子の【恵王】に排斥され燕を去りました。【恵王】は後悔し、再度、帰国を要請したが、【楽毅】は標記の言葉を残して、復帰しませんでした。【楽毅】は【恵王】の悪口も言わないし、自分の身の潔白の言い訳もしなかった、まさに君子といえるのではないでしょうか。人の悪口を言うことは、自分に人を見る目がなかったことになり、また、悪口が相手の耳に入れば、どこかで反撃されないともかぎりません。心して行きたいものです。
☆…【人の不善を言うなかれ】(人の悪口は言うべきではない)(孟子)
☆…【疑わば用うる勿れ、用いては疑う勿れ】(人を疑うならばその人を用いるな、その人を用いた以上は、その人を疑うな)
☆…【人の悪を称するものを悪む】(他人の悪いところをあげつらう者を憎み嫌う)(論語)~