伝習会 第59回
伝習会
〈 第五十九回 〉
【風樹の嘆】……韓詩外伝
(訳・・・樹は静かにしていたいと思っていても、風は止んでくれず、揺れ動かざるを 得ない樹木の嘆き。転じて、子供が親孝行をしたいと思った時には、すでに親は亡くなって、孝養を尽くすことが出来ないという嘆き)~ これは、次の言葉からの故事です。
【樹静かならんと欲すれども 風止まず、子養わんと欲するも親待たず】
私も、子を持つ親の立場になって、始めて、親の気持ちや苦労が、どんなに大変だったかが、漸く少し分かる年になりました。さて、これから、少し親孝行でもしようか、と思ってみたものの、すでに、親はなし、という状態になってしまい、つくづく【風樹の嘆】に身を詰まされております。【孝行したい時には親はなし】、残念ながら、これが現実のような気が致します。【孝は徳の本なり、教えの由って生ずる所なり】(親孝行は全ての道徳の根本であり、同時に教育の根源となるものです)…孝経 自分はどういう徳目(仁、義、信、礼、智など)を本とするかは、各自によって違います。ですからこれが、徳だ、と決め付けることはできませんね。しかし、【五常の徳】(仁・義・礼・智・信)くらいは、信条として持ち続けたいものです。
【親を愛する者は敢えて人を憎まず。親を敬する者は敢えて人を慢らず】 (親を愛する人は他人を憎むことはしないし、また、親を敬い自らを慎む者は、他人を侮ることはない)…孝経
今日あるのは親のお陰です。先祖を敬い感謝する気持ちだけは忘れない ようにしたいものです。ご先祖様に合掌。~