伝習会 第65回
伝習会
〈 第六十五回 〉
【人の小過を責めず、人の陰私を発かず、人の旧悪を念ず】
菜根譚
(訳…小さな過失はとがめず、人の秘密をあばかず、人の昔の悪事にはふれない)
~ この後に、【三者は、もって徳を養うべく、また、もって害を遠ざくべし】とあります。所謂、上記の三つを心掛ければ、自分の徳を養うことにもなるし、人から怨まれることもない、と言っております。人間、とかく、若い時には、無鉄砲な事も、はたまた、人の道に外れるような行動もあるでしょうが、しかし、それもまた貴重な経験です。年と共に自らを自覚し、反省し、学び、そうして人格も形成されていくものと思います。 人間誰しも、触れられたくない事、触れて欲しくないこともあります。人の心を理解できない人は、むしろ恨みを買うばかりで、人間性を疑われるのが関の山でしょう。自分が反対の立場にあったときのことを考えれば分かります。論語に【己の欲せざる所を、人に施すこと勿れ】とあり、また【人の悪を称する者を悪む】と、自分がして欲しくないことは人にもしてはいけないし、人の悪口を言う者は憎むといっています。むしろ、将来性ある人間を如何に生かして使うかが大切であると思います。
吾、人生を振り返って、痛切に感じるところであります。
これからも、この言葉を心して参りたいと思っています。~