伝習会 第79回
伝習会
〈 第七十九回 〉
【泣いて馬謖を斬る】……三国志
(訳…三国志に登場する蜀の諸葛孔明が、軍律を破った馬謖を涙を流しながら斬った故事。転じて、個人的感情に於いては忍びないが、規律や秩序を守るためにはやむなく愛する者をも処分する事)
~ 三国志では、【亮、政を為すこと私無し。馬謖、素より亮の知る
所と為る。敗軍に及びて、流涕して之を斬り、その後をあわれむ】と。
亮・諸葛孔明は政治を執り行うにあたっては、決して私情に流される人ではなかった。
馬謖は常日頃から諸葛孔明に信用されていた。しかし、馬謖は孔明の軍令に背き、独
断の布陣を敷き、大敗を帰した為、涙ながらに断罪に処した。其の後、残された家族の面倒をみてやった、とあります。
さて、この馬謖は五人兄弟で、しかもあの【白眉】(沢山の優れたものの中で、最も優
れたもの)で有名な馬良の末弟です。五人とも優秀な兄弟で、【白眉最も
善し】と言われたのが、馬良でした。しかし、馬謖も大変な理論家で、
孔明も信頼し、自分の後を継がせたい、とも思っていました。
ところが君主の劉備は、臨終の間際、「馬謖は、口先ばかりで、身が伴わ
ない故、大事に使うは避けられたし」と孔明に忠告しています。
三国一と言われた諸葛孔明でさえ、思い込みがあったのでしょうか。
これは企業も大いに参考にすべきと思います。
社員には、情熱、意気、自己実現、等を持って励んで貰う事は大切な事で
あります。
しかし、その行動が、企業が目指す方向と同じでなければなりません。
そこで、その歯止めとなるものは、【経営理念】です。この理念に反した
時、毅然とした態度が重要に為って参ります。~