伝習会 第87回
伝習会
〈 第八十七回 〉
【人の患いは、好んで人の師と為るに在り】…孟子
(訳…人間の困ったことの一つは、頼まれもしないのに、進んで人の先生になりたが
ることである)
~ この言葉の前に【人の其の言を易んずるは、責め無きのみ】とあります。
口が軽いのは、自分の言葉に責任を感じていないからだ。考えなしに
ベラベラしゃべるのはやめなさい、と言っております。
人間は、一寸勉強すると、得てして人に教えたがる性質があります。
【能ある鷹は爪を隠す】と申しますが、得意満面に知ったかぶりで話す
姿は、自己満足以外の何ものでもないでしょうし、人から嫌われるのが
関の山でしょう。
私も、歳を取るに従って、人の師と為りたがる傾向が益々強くなりまし
て、酒が入ると特にひどく、それもくどくどと、何度も同じ事を繰返して
いると、よく注意されております。
【病膏膏に入る】で、どうやら大変な重病に掛かったようです。
私もこれを機に【七十にして七十化す】、七十歳に相応しい、そんな
七十歳になれたらと思い、この言葉を心して参りたいと思っております。
【学びて然る後に足らざるを知り】(自ら学んで初めて自分の知識も人格もいか
に未熟であったかを自覚できた)【教えて然る後に困しむを知る】(人に教えて
みて初めて、教えることの難しさ、未熟さが自覚できた)(礼記)で、この伝習会
で自ら学んでみて、如何に自らが勉強不足で、未熟であったか、思い知
らされました。まさに、この【伝習会】の名称の出典、【習わざるを伝えしか】でありましょう。しかし、
【倦むこと無かれ】(人間始めは意気込んでやるが、すぐだれて、飽きがくるのが
凡人の常である。情熱の静かな持続を持って嫌気を起こさないこと・論語白路第十三)で、これから何処まで続くか分かりませんが、自らを磨く場と捕らえ、心新たにして参りたいと思っております。~
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