伝習会 第103回
伝習会
〈 第百三回 〉
【疑事無功 疑行無名】(訓読み・疑事は功無く、疑行は名無し)…戦国策
(訳…疑心を抱いて成す事は、成功は疑わしい。疑いながら事を行なうようでは、
名誉を得ることなどできない。一度決めたら信念を持ってやり遂げなさい)
~ これは、「趙」の国の君主であった武霊王が、一つの軍事革命を断行した
時に、肥義という参謀から出た言葉です。それは、次のような出来事があっ
たのです。戦国時代、「趙」の戦闘は、三人乗りの馬車を使った形式でした。
一方、北方民族は、一人で馬に乗り弓を射る、騎馬形式でした。「趙」軍は
機動力に優れる北方民族の騎馬戦術には敵わなかったのです。そこで、
武霊王は、北方民族の【胡服騎馬】方式を是非導入したいと思い、参謀の
肥義に相談した時、肥義は表記の言葉で王を励まされました。というのは、
今まで中華の服装は、裾の長いスカートのようなものが常識でした。馬にま
たがるには、スカートでは具合が悪かった訳です。そこで、胡服、今で言う
ズボンを導入したい、と図ったのですが、『中華』というくらい誇りを持っ
ている趙の人々は、北方蛮族の穿くような野蛮なズボンなど、どうして穿
けようかと、猛反対したのです。しかし、武霊王は真心を持って導入の「理」
を諄々と説き、ついに心服させ、強力な軍隊を作り上げたそうです。
権力を振りかざし、強権の発動をもって組織の表面を替える事は出来て
も、内面までは替える事は出来ません。やはり、意識革命を組織において
行なおうとするならば、【理を説く】、これが必要ではないでしょうか。~