伝習会 第106回 ②
伝習会
< 第百六回 >……その2
【亢竜悔い有り】……易経
(訳…【亢竜】は、天高く上りつめた竜。天高く上りつめた竜は後で悔いが生ずる)
~ いよいよ天掛け慈雨を降らす第五段階、【飛竜天に在り】の【飛竜】の時期へと成長します。【潜竜】の時期から抱いてきた志を達成し、之まで身に付けてきた能力を発揮して社会に貢献していく段階です。さて、この【飛竜】の時期は、雲ばかりでなく、良いことも悪いこともどんどん集ってきて、それが全ていい方向に転じる勢いがあります。また、【陽】と【陰】から見ると【飛竜】の時期は【陽】が強く極まっていく時です。
この【陽】とは人に教えたり話をする事ですが【飛竜】の時期は【陰】を生み出すよう務めなければならないといいます。つまり自分以外の全ての人の言動や有様から学びじっくりと意見に耳を傾けよ、と言っているのです。【飛竜】になるほど強力な実力の持ち主ですが、だからこそ、敢えて他者に学び、人の話を良く聞いて絶えず自ら【陰】を生む事が何よりも大切なのです。同時に【潜竜】の時期に築いた志を絶対に忘れない事です。
志を忘れた時、人は欲望に身を任せるようになります。志ではなく欲望に身を任せ、人の意見も聞かずに独り天高く上っていった【飛竜】は、一転して【亢竜】となって凋落してしまうのです。【亢竜悔い有り】なのです。しかし、一度地に落ちた【亢竜】も悔い改めることで、もう一度新しい別の【吉】へゆっくりと転換していくとも言われております。~