伝習会 第109回
伝習会
〈 第百九回 〉
{【子曰く、与に共に学ぶべし、未だ与に道を適くべからず。】
(訳…孔子が言いました。その人と一緒に並んで勉強をすることは出来る。しかし、
一緒に勉強が出来ても、自分の歩く道、また、自分の人生を進むべき道、方向まで一緒に行くことは出来ない。)
【与に道を適くべし、未だ与に立つべからず。】
(訳…その人と一緒に同じ道を行こうと思えば行くことは出来る。しかし、同じ道を
行く事が出来ても、その人と協同で何かを成し遂げる事は、なかなか難しい。)
【与に立つべし、未だ与に権るべからず】}……論語(子罕第九)
(訳…その人と協同で何かを成し遂げようと思えば、成し遂げることはできる。
しかし、成し遂げる事が出来ても、これからも、ずーっと長く続いて行くということは難しい。)
~ 上の言葉を、二人の男女を例に訳してみたいと思います。
☆・男女共学で、同じ学校で男女が机を並べて勉強することは出来るが、卒業して、二人が同じ人生の道、例えば、同じ大学や同じ会社へ行く事は、容易ではない。
☆・しかし、同じ大学へ入って、経済学や政治学を一緒にやる、つまり、同じ道を行くことは出来ない事はない。それなら、一層結婚しようか、というと、ことはそう簡単なことではない。
☆・しかし、簡単ではないが、「与に立つ」こと、結婚する事は出来る。結婚出来ても、この「共に権る」ことが、なかなか難しい。一緒に生活してみると、色々相手の一挙手一投足が鼻に付き、ハシの上げ下ろしにまでケチを付けるようになり、結末は離婚するということにも為りがちです。「権」は色々の変化、状態に上手く、正しく、公平に、円満に対処していくことを意味しております。
私達にくれぐれも自らの修養を怠ることのないようにとの、忠告ではないでしょうか~