伝習会 第113回
伝習会
〈 第百十三回 〉
【君子は其の親を施てず】…論語(微子第十八)
(訳…君子たる者の要諦の第一は、自分の親族を大事にすることである)
~ これは、周公旦が、息子の伯禽(魯公)に君主たる者の要諦をいくつか説いた、次の言葉の中にあるものです。
{【周公、魯公に謂いて曰く、君子は其の親を施てず】
(訳…周公は、魯公に、君主たる要諦の第一は、自己の親族を大事にすることである。
周公は即ち、周公旦で、文王の子、武王の弟として、周王朝創業の聖人の一人でありました。
また、諸侯としては、魯の国の最初の君主でした。魯公とは、周公の息子の伯禽で、父の
周公は中央の政務に忙しかった為、魯に国入りできず、子の伯禽を魯公として国入りさせる
に際し、君主たる者の戒めとして重要な事柄をいくつか説いた言葉です)
表記の言葉に続いて、次のように戒めています。
【大臣をして以いざるに怨ましめず】
(訳…大臣(今まで政治を司どっていた人)から、我々の言うことをなにも聞いて貰えず、お役に立ちそうもない、無私されている、という不平が起らないようにしなさい)
【故旧、大故無ければ、則ち棄てざる也】
(訳…昔馴染みの友人、知己の人は、大きな悪事がない限り、見捨ててはいけない)
【備わることを一人に求むる無かれ】}
(訳…何でも出来るからといって、ただ一人の人間に、全てを任せたり、完全さを求めて
はいけない)
表題の故事に反する故事が、左伝に次の言葉があります。
【大義、親を滅す】…春秋左氏伝(左伝)
(訳…大義の為には、親兄弟、親戚でもこれを滅ぼさなければならない事がある)
元は、“あの馬鹿たれが、大義などと言って、親まで殺しやがって”と
嘆いたことに始まるそうです。時の権力者の【大義】は、都合の良いように使ったのでしょうね。【親を滅すほどの大義は有りや無しや】(哲雄伝)~