伝習会 第128回
伝習会
〈 第百二十八回 〉
【月下氷人】……晋書「索紞伝」
(訳…結婚式の媒酌人、仲人。【月下老】と【氷上人】の合成語でどちらも仲人。)
~ 古代中国では、万事が【陰】と【陽】で成り立っており、【陰陽思想】
が原理になっております。これは次の二つの故事からなっています。
☆先ず、【月下】の老人と言う故事は、唐の頃に、【韋固】と言う独り身の青年が、宋城という所に来た時、月明りの下に一人の老人が本を読んでいました。青年が「何をしているのですか」と聞きました。老人は「結婚のことを調べているんだよ」。青年は「その赤いもの何ですか」。老人は「これは、人間は生まれた時から、この赤いヒモで夫婦となる人が結ばれているんだよ」。青年「私の相手も決まっていますか」。老人「ああ、決まっているとも。どこどこの誰々だよ」。それから十四年の後、老人が言われた人と結ばれたそうです。「結婚する運命の男女は小指と小指を赤い糸で結ばれている」という伝説の由来ともなっています。
ここから仲人のことを【赤縄】(せきじょう)とも言う。
☆もう一つの【氷人】の人の話は、晋の頃、【索耽】という占いの名人
がいて、ある時、【令狐策】という人が夢を見たことの占いを頼みに来ま
した。【令狐策】は「私は氷の上に立っていました。氷の下には、誰か人がいて、その人と話をしたのです」といって、この夢見を占って下さい。と言いました。【索耽】は、「氷の上は即ち【陽】、下は【陰】だ。【陽】と【陰】が語るというのは、君が結婚の仲立ちをする前兆だな。成立する時かね?。氷が解けたころさ」。この言葉の通り、氷が解け、春の半ばに、【令狐策】の所に、仲人の依頼が来て、目出度く結ばれる事となりました。
つまりは、【陽】と【陰】とを結ぶのが【氷人】ということになりますが、
原文は次のようになっています。
【氷上は【陽】と為し、氷下は【陰】と為す。君氷上に在りて氷下の人と語りしは、【陽】の【陰】に語ると為す。媒介のことならん】と。~