伝習会 第131回
伝習会
〈 第百三十一回 〉
【虚往実帰】(訓読み…虚にして往き、実にして帰る)…荘子
(訳…こだわりの心を持たずに空しく行き、充実して帰ってくる。)
~ こだわりの心(固定観念)を持たないのが【虚心】、前もって、“こうだ!”
ときめてかかっている心(先入観念)を【成心】といいます。
【成心】を持った人は、人の話に耳を傾けられないので、学ぶことも出来
ないし、人格の向上も望めない。しかし、反対に【虚心】の人は、心を虚
しくして素直な気持ちで人の話を受け入れるので、知識も充実し、人格
も向上する。とくに、若く血気盛んな時代から【成心】の人間は、将来
の進歩は望めないのではないでしょうか。
よく、頭の良し悪しは知能指数では決まらないと言われますが、確かに、
いくら指数が高くとも、大成しない人はいるようですね。肝心なのは、
学問や対象に向かって、いかに謙虚に、しかも柔軟に、素直な心で、
【物を学ぶ】姿勢、態度が大切かと思います。
【学べば則ち固くならず】(学問をすれば頑固でなくなる)論語学而第一
【吾れ嘗って終日食わず、終夜寝ねず、以って思う。益無し。学ぶに如かざる也】(私(孔子)は若い頃、一日中何も食べず、一晩中一睡もせず、ああしたらどうか、こうしたらどうか、と色々考えたが、たいして得るところがなかった。やはり昔の聖賢の書を学ぶことには及ばないなあ)論語衛霊公第十五~