伝習会 第134回
伝習会
< 第百三十四回 >
【慈烏反哺】………梁武帝「孝思賦」
(訳…父母が年老いた後、子が親の恩に報いて孝養をつくすこと。親孝行のたとえ)
~【カラスに反哺の孝有り】とも云う。【慈烏】はカラスの異称。【哺】は口の中の食べ物、よって【反哺】は食べ物を口移しに食べさせる、の意味になります。カラスは幼い時に親が口移しで餌を与えて育ててくれた恩を忘れず、幼いカラスが成長した時、今度は老いた親に口移しで餌を与えてその恩を返すという、親に孝行せよという戒めの言葉です。
親に孝行するという【孝】の字は、徳目の一つであり、親に良く使えることを表します。この【孝】の字を分解してみますと、親が赤ん坊を抱っこしてお乳を飲ませている姿の字で、また子供が年老いた親を背負っている姿の字だと聞いております。論語の為政篇に、子游が孔子に【孝】について次のように問うています。【子游、孝を問う。子曰く、今の孝なる者は、是れを能く養うと謂う。犬馬に至るまで、皆な能く養うこと有り。敬せずんば、何を以って別たん乎】(子游が、孝とはどういうことですか、と尋ねた。
孔子がいうには、今普通に孝行といっているのは、物質的な奉仕にすぎない。犬や馬に対しても、人間は食料を与えて養っている。しかし、人間に敬愛の情を伴わなければ犬や馬に対する愛情と、どうして区別できるか)
本来【孝】とは、子が父母に敬愛の情を以って、人間としての道を尽くす、という事でしょう。類似として【三枝之礼】、小鳩が木に止まる時、親鳩より三本下の枝に止まって、親に対して礼儀を守る、もあります。~