伝習会 第137回
伝習会
< 第百三十七回 >
【風林火山】…孫子(軍争篇第七)
(訳…其疾如風 其徐如林 侵略如火 不動如山…甲斐の武田信玄の軍旗)
~ この四字熟語は武田信玄の旗印として有名です。兵法書「孫子」の次の文が出典です。
【兵は詐を以て立ち、利を以て動き、分合を以て変を為すもの也。故に其の疾きこと風の如く、其の徐なること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと陰の如く、動くこと雷震の如し】
(戦争では敵を欺く事を中心にすべきだし、有利な戦況になるように見極めて動くべきだし、自在に離散集合を繰り返し変化をしていくべきだ。疾風のように早いかと思えば、林のように静まりかえる。燃える炎のように攻撃するかと思えば、山のように動かない。暗闇に隠れたかと思えば、雷のように現れる)
本来、武田軍の軍旗の文言は【風林火山】の四字ではなく、【其疾如風】、【其徐如林】、【侵略如火】、【不動如山】の十六字が旗に書かれていたそうです。中国古典の四字句ではなく、和製ではないかと言われています。続いて、【郷を掠むるには衆を分かち、地を廓むるには利を分かち、権を懸けて動く。「迂直の計」を先知する者は勝つ。此れ軍争の法なり】(兵を分散して村を襲い、守りを固めて領地を増やし、的確な状況判断のもとに行動する)
【迂直の計】…一見すると遠回り(迂)しているようだが、実は一番の近道(直)である。急がわ廻れですね。孫子は2,500年も前に書かれたものとはとても思われません。現代でも十分通用します。~