伝習会 第158回
伝習会
〈 第百五十八回 〉
【楓橋夜泊】…中唐・張継
~ 霜の降りる季節となりました。
平成二十年十月二十三日は二十四節気の一つ、【霜降】です。
人口に膾炙した旅愁の名作【楓橋夜泊】を、先ずは朗々と詠ってみては
如何でしょう。
【月落烏啼霜満天】…月落ち烏啼いて霜 天に満つ
(訳…月が沈み、烏が啼いて、霜の気が空一面に満ちている)
【江楓漁火対愁眠】…江楓の漁火 愁眠に対す
(訳…川岸の楓や漁火が、旅の憂いで熟睡出来ず、うつらうつらした目に映っている)
【姑蘇城外寒山寺】…姑蘇城外の寒山寺(訳…そこへ、姑蘇城の郊外の寒山寺から)
【夜半鐘声到客船】…夜半の鐘声 客船に到る
(訳…夜半を告げる鐘の音が、わが乗る小船に聞こえてきた)
【張継】は中唐の詩人。この詩一首だけで大変有名になり、後生の詩人
がこの地を訪れて大層多く詠まれたそうです。楓橋は江蘇省蘇州の西の
郊外にある、風江に架けられた橋で、寒山寺もその近くにあるそうです。
日本の政治家として、また詩人でもありました副島種臣も蘇州を訪れ、
【楓橋】と題して次の詩があります。
【月落ち烏啼いて霜天に満つ】 【楓橋の夜泊 転た凄然たり】
【兵戈破却す 寒山寺】 【復た鐘声の客船に到る無し】~