伝習会 第160回
伝習会
〈 第百六十回 〉
【御親兵一割の損】…後藤新平のリーダー学(1857年生まれ、東京市長、逓信・外務各大臣就任)。(訳…【公人】として生きた後藤新平は、親族・身内の者に身
びいきすることなく、常に身内を他人より【一割の損】の立場に置くことを貫いた)
~ 世襲した安倍・福田の首相が二代続けて一年で政権を放り出したが、こ
れは日本の政治史上前代未聞のことでしょう。このように、ひ弱な政治家
になった要因は、国会議員の「世襲」も、一つの原因ではないでしょうか。
「公人」として天下国家の為に生きるべき議員が、「身びいき」で、子
や孫が「世襲」すれば、政界の水が澱むのも当然のような気が致します。
「公」に生きる者が「私」を優先すれば、人々の「信」が離れるのも必然の
事です。【世襲】を全て否定するものではありませんが、「公」に身をおく
人は、呉れ呉れも自らを律して欲しいものです。【親兵】は明治政府の直
属部隊で、いわゆる護衛として手近におく兵で、【後藤新平】にとっての
【御親兵】は「親族」だったのです。【後藤新平】は自分が権限を握ると、
血縁者というだけで周りからチヤホヤされておだてられ、利権が絡む策謀
に巻き込まれることを避けたばかりでなく、「世襲」による弊害を見抜い
て、自分の信念を貫いた人でした。身内に一割の損をさせるくらいの厳しさで望まないと公平が保てないという強い信念を持っていました。また、信念の無い議員の集まりは、必ず官僚主義に毒され、支配されることも恐れておりました。暦然と「世襲」議員でありながら、我に存せずと、平然とうそぶいている御仁も見えますが、我々国民の冷静なる判断が如何に大切かと言う事ではないでしょうか。
【父兄(ふけい)の勢(いきお)いに席(よ)りて美官(びかん)となるは不幸(ふこう)なり】
…小学(親の七光りによって高い地位に付くことは不幸なことである)~