伝習会 第170回
伝習会
〈 第百七十回 〉
【君子は和して同ぜず。小人は同して和せず】…論語
(白路第十三)
(訳…君子(自分というものをしっかり持った徳のある人)は、自分の考えをしっか
り持って、周りの人達と協調はするけれども、安易に他人の意見に賛成しない、付和雷同はしない。
小人は逆に、自分の考えがしっかりしていないので、すぐ人に同調するが、い
ざ実行しようとするとなかなかまとまらない、協調できない)
~ 聖徳太子の【十七条憲法】の冒頭に【以和為貴】(和を以って貴しと為す)
とありますが、日本は昔から、この【和】をとても大切にしてきた国です。
【私】より【公】を重んじ、自己主張を控え、周りとの協調に気を使い、
しかし、「一旦決まれば、皆で力を合わせて何とかやり遂げよう」というのが、日本のよき伝統ではなかったでしょうか。日本の伝統であり、文化であったこの【和】が、薄れてきたように思います。国の大本である政界も、党利党略に現を抜かしてばかりおらず、【公】を持って【和】していく、君子・大人になってもらいたいものです。
書経に【兄弟牆に鬩げども、外その務りを禦ぐ】とありますが、いくら
家の中で兄弟喧嘩をしても、家の存続に拘わるような一大事が起きれば、
兄弟は手を取り合ってこれを防ぐとあります。今、まさに【危急存亡の秋】
ではないでしょうか。(訳…危機が迫って、生き残るか滅びるかの瀬戸際の状態)これは、三国時代で【蜀】の【劉備】亡き後、帝に就いた息子の【劉禅】に、【諸葛孔明】が「魏を討つべし」と上奏した、かの有名な【出師の表】の中の言葉です。~