伝習会 第184回
伝習会
〈 第百八十四回 〉
【逆鱗に嬰れる】…韓非子
(訳…権力者の気持ちに逆らって怒りを買い、厳しく叱られること。嬰れるは触れる)
~ 上司に部下が進言して、上司を怒らせたとき「彼は部長の逆鱗に触れた
なあ」などという事があります。
これは、『韓非子』にある次のような言葉が出典です。
【かの龍の虫たる、柔にして狎れて騎るべきなり。(龍という動物は、馴らせ
れば、人が乗れるほどおとなしい)然れどもその喉下に逆鱗径尺なるあり。(だが、
喉の下に直径一尺ほどの鱗が逆さに生えている)若し人これに嬰るる者あらば、即
ち必ず人を殺す。(もし、これに触れようものなら、必ず人を噛み殺す)。人主もまた逆鱗
あり。(君主にもこの逆鱗がある)説く者能く人主の逆鱗に嬰るるなくば、則ち
幾し。(その逆鱗に触れないように話すのが進言のコツである)】。
折角、相手の為を思って進言しても、逆鱗に触れたのでは、進言するか
いもないばかりか、こちらの身まで危うくします。さりとて【触らぬ神に
祟りなし】では、部下としての責任を果たせません。言うべき時にいう
部下で在りたい者です。その際、権力者の逆鱗に触れないコツを三つ上げ
ています。
1.
相手の心を読み取ること。
2.
相手の気持ちに逆らわないこと。
3.
自分の立場や状況を良く考えること。
また、中国古典や名言故事、四字熟語、或いは、歴史上で臣下が君主に諫言した例え話などを取り混ぜ、進言をする事も大切ではないでしょうか。~