伝習会 第187回
伝習会
〈 第百八十七回 〉
【歳寒くして、然る後に松柏の凋むに後るるを知る也】
…論語(子罕第九)
(訳… 冬の寒さが厳しくなった時に、はじめて松や柏がいつまでも凋まないで、
寒気に耐えていることが分かる。松や柏が厳しい寒さの中で耐えているように、
人間の真価も不遇や逆境の時に現われる)
~ 孔子の一生は、逆境の連続と言っても良いほど不遇でした。
松や柏の樹は、冬の寒さが厳しくなればなるほど、いつまでも凋まない
で寒気に耐えているように、孔子も決して負けることなく、むしろ逆に苦
労をバネにして、自分を磨き、強靭な自己を確立しました。
ですから、この言葉に孔子の実感が、ヒシヒシと感じられます。
さて、組織の中の人間を見てみますと、逆境に陥った時にその人の本性
が現れるように思います。順風のときは、比較的不平不満は出て来ません。
しかし、今日の経済状況のように、百年に一度あるかないかという大不況
に陥ると、【疾風に勁草を知る】(第二十回参照)人と【悪貨が良貨を駆逐
する】(真面目に、一生懸命働こうと思っている善人を、ずるく、怠け者の悪人が、
悪い方向へ唆す)輩とが、鮮明に判明します。このような状態の時こそ、
リーダーとして、如何に毅然とした態度で望まれるかが重要であります。
その為には逆境に耐えられるように、普段から自らを磨いておくことを忘
れてはならないでしょう。まさに【人生は準備なり】~